診療科・部門

希少がん・サルコーマセンター

令和5年11月改訂

概要

肉腫(英語でsarcoma・サルコーマ)とは骨・筋肉・神経・血管・脂肪などに発生する悪性腫瘍(がん)の総称です。5大がん(胃癌 肺癌 大腸癌 乳癌 肝臓癌)と比較して発生頻度が極めて低く、希少がんと言われています。その希少性から肉腫を専門とする医師(整形外科・薬物療法医・病理医)も極めて少ないため、多くの施設で診断に難渋し「忘れられたがん」とも呼ばれています。肉腫の治療には専門施設での集学的治療が必須で、症例を専門施設に集約化し治療することが望まれています。このような背景から2016年10月に東海地区で初めてサルコーマセンター(現 希少がん・サルコーマセンター)を開設しました。

肉腫は四肢だけでなく頭頸部や体幹部や後腹膜など体のあらゆる部位に発生するため、整形外科・皮膚科・形成外科・外科・婦人科・泌尿器科など、どの診療科を受診すべきかわからなかったという意見を多く聞きます。その結果、適切な診断がされないまま複数の医療機関や複数の診療科を経て当院を受診される方が少なからずいます。このような患者さんが迷うことなく速やかに当院に受診して安心して集学的治療を受けていただくことが我々の使命だと思っています。複数の診療科が密接な連携をとりチーム医療としてあらゆる場所にできた肉腫患者さんの診断から治療にあたります。

肉腫に代表される希少がんは全てを合わせると15~22%に達し、決して“まれ”なものではありません。希少がんの医療の問題点は、多くの医療者や患者さんがその正しい情報を得ることが困難であることにあります。愛知県がんセンターはこれまでも様々な希少がんの専門施設として診療実績があります。2024年4月にサルコーマセンターは希少がんセンター・サルコーマセンターと名称を変更し、サルコーマセンター運営の経験を活かして希少がんの情報発信を様々な専門施設と連携して行います。

筑紫 聡
希少がん・サルコーマセンター長 兼 整形外科部長

関連リンク

サルコーマセンター

希少がんセンターのリンク

希少がんセンターホットラインのリンク

その他

診療内容

サルコーマカンファレンス

開催

2週間に1回開催する。

内容

新規症例の院内登録と治療方針の決定を行う。
治療中の症例検討を行う。

希少がん・サルコーマセンターが肉腫の診療を統括し、複数の診療科が密接な連携をとるチーム医療として患者さんの診断から治療にあたります。

適応疾患

肉腫と診断された、もしくは肉腫が疑われる患者さん。

主な疾患名

軟部腫瘍

  • 未分化多形肉腫
  • 粘液線維肉腫
  • 脂肪肉腫 
  • 隆起性皮膚線維肉腫
  • 悪性末梢性神経鞘性腫瘍
  • 滑膜肉腫
  • 平滑筋肉腫
  • 孤立性線維性腫瘍  
  • 炎症性筋線維芽細胞性腫瘍
  • 低悪性度筋線維芽性肉腫
  • 成人線維肉腫
  • 横紋筋肉腫
  • 血管肉腫
  • 骨外性間葉性軟骨肉腫
  • 骨外性骨肉腫
  • 消化管間質腫瘍
  • 悪性トリトン腫瘍
  • 悪性顆粒細胞腫
  • 類上皮肉腫
  • 胞巣状軟部肉腫
  • 明細胞肉腫
  • 骨外性粘液性軟骨肉腫
  • 骨外性Ewing肉腫
  • CIC遺伝子再構成肉腫
  • BCOR遺伝子異常肉腫
  • NTRK 遺伝子再構成紡錘形細胞腫瘍
  • デスモイド型線維腫症

骨腫瘍

  • 骨肉腫
  • 軟骨肉腫
  • 骨悪性線維性組織球腫
  • Ewing肉腫
  • 脊索腫

肉腫の診断と治療

悪性骨軟部腫瘍を総称して肉腫(サルコーマ)と言います。肉腫治療には専門的な診療科が密接な連携をとって集学的な治療を行うことが重要です。多くのがん診療は治療の均てん化(どこの施設でも同じような治療が受けられること)が推進されています。しかし肉腫は発生頻度の極めて少ない”希少がん”であるため、専門とする医師も少ない現状があります。そのため一つの施設に専門医を集めて、多くの患者さんを治療する集約化が必要です。愛知県がんセンターは肉腫(サルコーマ)を専門とする薬物療法医・整形外科医・放射線科医・形成外科医・病理医が充実している全国でも数少ない施設です。そこで平成28年10月に中部地区で初めて希少がん・サルコーマセンターを開設しました。このような専門分野の標準治療から先進治療まで全国のセンターとの多施設共同研究を推進しています。

軟部肉腫とは?

軟部肉腫とは筋肉・脂肪・神経・血管といった軟部組織に発生する悪性腫瘍の総称です。その希少性から専門とする施設が少なく、患者さんからは”軟部肉腫の情報を得ることが本当に難しい”との声を多く聞きます。病気の治療はその理解が最も重要だと思っています。日本癌治療学会のホームページでは平成29年7月に軟部肉腫の標準治療についてわかりやすく解説した患者さん向けの手引きが公開となりました。ESMO (欧州臨床腫瘍学会)の発行する”ESMO GUIDES FOR PATIENTS”を「ESMO患者さんの手引き」として日本語訳したものです。疾患の理解のためご参照ください。

ゴルフボールより大きいしこりは肉腫の可能性があります~肉腫の早期診断のために~

肉腫(サルコーマ)はまれな腫瘍です。そのために専門施設への紹介が遅れることが以前より指摘されています。肉腫はがん(悪性腫瘍)の一つであり、治療で最も重要なことは早期診断と早期治療です。これを実現するためには、できるだけ多くの医療機関の先生方そして患者さん自身に、肉腫の特徴を知ってもらう必要がどうしてもあります。英国ではガイドラインとして「大きさが5cm以上」「痛みを伴う」「大きくなっている」「深い場所にある」「切除した後に再発した」という肉腫の特徴を紹介しています。出来るだけ多くの方に知ってもらうために、ゴルフボールやピンポン玉が4cmほどの大きさであるので、「これより大きい場合は肉腫が疑われる」という啓発活動が英国[PDFファイル/386KB]国立研究開発法人国立がん研究センター希少がんセンターなどで行われています。現在英国のガイドラインでは増大しているしこりは2週間以内に紹介するようにとされています。

ぜひ知ってほしい!“Tail sign”

MRIのSTIR像や造影脂肪抑制像において腫瘍辺縁より筋膜上に沿ってあたかも炎症のような尾を引くような所見を示すことがあります(図1)。この画像的な特徴をTail sign(しっぽのようなサイン)と言います。これは未分化多形肉腫や粘液線維肉腫などの多くの肉腫でみられる所見です。2020年の軟部腫瘍診療ガイドラインでは「MRIでtail signを伴う軟部腫瘍を確認した際には、未分化多形肉腫や粘液線維肉腫などの悪性軟部腫瘍を念頭に置いた対応が考慮される。」と記載されています。この2つの肉腫は大きさが小さくても浸潤性が強く、単純切除することにより播種性の再発をきたす腫瘍です。このようなMRIの画像所見をみた場合には、生検や切除はしないでできれば当院へ紹介していただくようにお願いします。

図1 肉腫の特徴である Tail sign(しっぽのようなサイン)

肉腫が疑われる場合なぜ生検が必要なのか?

時々なぜそのまま切除してはいけないのかという質問を受けます。悪性の骨軟部腫瘍は画像でみえるより広い範囲で正常組織に手足を出している(組織学的浸潤がある)ことがわかっています。そのまま切除してしまうと、そのほとんどが周囲の手足と手術操作が及んだ部分より再発(局所再発)するため、腫瘍を播種(周囲にばらまいてしまう)することになります。一旦播種してしまうと根治的切除が困難となります。そのため2-3cmの小さな切開で播種を最小限にして腫瘍組織の一部を病理検査に提出して、その悪性度に応じた切除をすることが重要となります。(図2

図2 肉腫の特性と切開生検

CTガイド下針生検

生検は2-3cmの切開を行い、組織を採取する『切開生検』が最も確実な方法です。しかし特に脊椎や骨盤や後腹膜といった深部に発生する肉腫は切開生検で組織を採取すると、出血や筋肉の損傷などの手術侵襲が大きいため当院では積極的にCTガイド下針生検を行っています。2泊3日の入院にてCT室で局所麻酔下にCTを撮像しながら病変部位に針を穿刺し組織を採取します。正診率(正確な病理診断が得られる率)は90%以上と報告されています。重要な臓器や血管や神経を避けることが可能で、確実に病変部位に針が穿刺されているか確認ができる長所がある一方で、針生検のため採取できる組織が少ないという欠点があり、診断が確実に得られない場合は再度CT下生検を行ったり切開生検を行ったりします。

広範切除術

肉腫が他のがんと大きく異なる特徴は、画像でみえる範囲よりも周囲に組織学的に浸潤しているという点です。そのため肉腫の根治的手術治療には周囲の正常組織を含めた切除(広範切除)が必要となります(図3)。主要な血管や神経や骨が隣接している場合にはこれらの合併切除が必要となり、術後の大きな機能障害が必発となります。当院では比較的浸潤への抵抗性を示す組織(血管鞘や神経鞘や骨膜)を丁寧に剥離することで切除縁を確保する機能温存手術と病理学的検証に取り組んでいます(図4)。

図3 広範切除術
図4 軟部肉腫の骨・主要血管・主要神経の計画的温存手術
(Tsukushi S  Arch Orthop Trauma Surg. 2013 より引用)

追加広範切除術

軟部腫瘍を単純切除(腫瘤のみを摘出)し、病理検査にて悪性(肉腫)と診断された後に当院に紹介となる患者さんがいます。肉腫は実際の腫瘤(しこり)より周囲の正常組織に手足を出している(組織学的浸潤)ため、多くの場合は切除の手術操作の及んだ部分には残存腫瘍が存在します。そのため残存腫瘍が大きくなる前に手術操作の及んだ皮膚や皮下組織や筋肉の周囲に正常組織をつけて切除を行います(図5)。このような切除を追加広範切除と言います。このような場合、計画的な広範切除と比較して広い範囲の正常組織を切除するため、欠損に対する筋皮弁の再建を必要とすることが多くなります。

図5 追加広範切除術

広範切除や追加広範切除後の骨軟部欠損に対する再建手術

広範切除により骨や軟部等に広範囲の欠損を生じた場合、形成外科部との連携のもと再建手術(皮弁形成)を行います。皮弁形成手術には、主に(1)栄養する血管を切り離さずに皮膚や筋肉を移動する有茎皮弁と(2)血管を切り離し顕微鏡下で行う微小血管吻合を行う遊離皮弁があります。

強度変調放射線治療(IMRT)併用広範切除手術の取り組み

肉腫はその組織学的浸潤性のため局所制御(同じ場所に再発しないように治療すること)を行うことが困難であり、放射線治療を併用することで治療成績が向上すると報告されています。2015年7月より四肢および表在体幹部発生の軟部肉腫に対して、放射線治療部との連携のもとIMRT併用の広範切除術を導入しました(図6)。IMRTは従来の放射線治療と異なり、複雑な腫瘍の進展に対してより正確に照射が可能で、重要な正常組織への影響を最小限にすることが可能となります。日本では肉腫に対してはほとんど普及されておらず、これらの併用手術が良好な局所制御率と術後機能温存に大きく貢献すると期待されています。

図6 軟部肉腫に対する術前強度変調放射線治療(IMRT)
(がんセンターNEWS第61号より引用)

手術用ナビゲーションシステム支援下での骨軟部腫瘍切除手術の取り組み

CTやMRIといった画像診断技術の進歩により、手術計画時にがんの病巣がどの位置に存在しどのような大きさなのかを正確に把握することが可能となっています。しかし手術時にはその画像所見や解剖学的特徴に基づいて、外科医の経験を頼りにして病巣切除を行っています。

近年手術用ナビゲーションシステムの開発により、特に脳神経外科・耳鼻科・脊椎外科の領域において術前に撮像したCT画像を反映させ、手術中に赤外線カメラを利用することでリアルタイムに精度の高い位置確認ができるようになっています。骨軟部腫瘍領域においてもいくつかの施設でナビゲーション支援下の手術が開始され、肉腫専門施設には必須の医療技術となりつつあります。愛知県がんセンターでは2018年よりその導入を行っています。

悪性骨軟部腫瘍においては正常組織を含めた広範切除が必要で、いかに正確な位置で骨や軟部を切除するかが求められています。特に体幹部(骨盤や胸壁や脊椎)においては解剖学位置の把握が困難で、手術中にCT画像をリアルタイムで可視化することで、安全で正確な切除が可能となります。また良性骨腫瘍においてはその位置を正確に把握することで低侵襲なアプローチが可能となります。この導入により治療成績の向上や合併症発生率の減少が期待されています。

図7 手術用ナビゲーション支援システム
図8 ナビゲーション支援下での骨軟部腫瘍切除

名古屋大学病院における神経線維腫症1型(NF1)診療ネットワークのご案内

神経線維腫症1型(NF1:レックリングハウゼン病)は、皮膚にカフェオレ班を生じ、皮膚や神経を中心に多くの器官に神経線維腫を伴う遺伝性の病気で国の難病指定を受けている病気の一つです。本疾患には悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)という肉腫を含め悪性腫瘍の発生が報告され、これらに対する早期発見・早期治療が極めて重要です。様々な臓器に症状が出現するため専門施設で複数の診療科が協力して治療にあたる必要があります。またサルコーマと同様に疾患に精通した専門医が少ないため、多くの患者さんがどの医療機関を受診したらよいのか不安や悩みをもっていることをよく経験します。名古屋大学病院では小児科、脳外科、眼科、整形外科などが協力して診療にあたるNF1診療ネットワークを立ち上げ、総合的に神経線維腫症1型の患者さんの診療を行っています。当院では今後のより良い診療を提供するため、患者さん用のパンフレット[PDFファイル/410KB]を提供し、病診連携を通じて名古屋大学のNF1ネットワークへの紹介を行っています。お気軽に整形外科に問い合わせください。

難病情報センターホームページ
神経線維腫症1型(レックリングハウゼン病)患者さん用パンフレット

スタッフ紹介

筑紫 聡 (つくし さとし)
役職
整形外科部部長 兼 希少がん・サルコーマセンター長
学会・資格
日本整形外科学会 整形外科専門医
日本がん治療認定医機構 暫定教育医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本整形外科学会
中部日本整形外科災害外科学会
日本癌治療学会
浜田 俊介 (はまだ しゅんすけ)
役職
整形外科部医長
学会・資格
日本整形外科学会 専門医
日本整形外科学会 認定骨・軟部腫瘍医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本整形外科学会 運動器リハビリテーション医
藤原 那沙 (ふじはら なさ)
役職
整形外科部医長
学会・資格
日本整形外科学会 整形外科専門医
日本医師会 認定健康スポーツ医
産業医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
吉田 雅博(整形外科部) (よしだ まさひろ)
役職
リハビリテーション部部長 兼 整形外科部医長
学会・資格
日本整形外科学会 専門医
日本リハビリテーション学会 認定臨床医
日本整形外科学会 運動器リハビリテーション医
日本整形外科学会 脊椎脊髄病医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
室 圭 (むろ けい)
役職
副院長 兼 薬物療法部部長 兼 外来化学療法センター長
学会・資格
医学博士
欧州臨床腫瘍学会(ESMO Faculty Member for the Gastro-Intestinal Tumors(2017-2021))
米国臨床腫瘍学会(ASCO active member)
日本臨床腫瘍学会 理事
日本胃癌学会 理事
日本食道学会 評議員・国際委員会委員・プログラム検討員会委員
日本癌学会 評議員
日本癌治療学会 がん診療ガイドライン統括・連絡委員会協力委員(胃がん担当)・臨床試験委員会専門委員
日本大腸肛門病学会 評議員
日本内科学会
安藤 正志 (あんどう まさし)
役職
薬物療法部医長 兼 臨床試験部長
学会・資格
米国臨床腫瘍学会(ASCO active member)
日本乳がん学会
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法指導医
日本内科学会 総合内科専門医
日本癌学会
本多 和典 (ほんだ かずのり)
役職
薬物療法部医長
学会・資格
医学博士
米国臨床腫瘍学会(ASCO active member)
欧州臨床腫瘍学会(ESMO active member)
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医・指導医
日本内科学会 総合内科専門医・認定医
日本癌学会
日本癌治療学会
日本緩和医療学会
細田 和貴 (ほそだ わき)
役職
遺伝子病理診断部部長
専門分野
膵・胆道腫瘍、神経内分泌腫瘍、分子病理学
学会・資格
日本病理学会 病理専門医・研修指導医・評議員・分子病理専門医
日本臨床細胞学会 細胞診専門医
日本臨床検査医学会 臨床検査専門医・臨床検査管理医
日本膵臓学会
日本癌学会
米国カナダ病理学会
高成 啓介 (たかなり けいすけ)
役職
形成外科部部長
学会・資格
日本形成外科学会 専門医・指導医
日本形成外科学会 再建マイクロサージャリー分野指導医
日本形成外科学会 小児形成外科分野指導医
日本創傷外科学会 専門医
日本形成外科学会
日本形成外科手術手技学会
日本頭頸部癌学会
日本頭蓋底外科学会
日本頭蓋顎顔面外科学会
日本手外科学会
日本創傷外科学会
日本マイクロサージャリー学会
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
日本口蓋裂学会
日本再生医療学会
古平 毅 (こだいら たけし)
役職
放射線治療部部長
専門分野
頭頸部がん、子宮がん、食道がん、強度変調放射線治療、高精度放射線治療
学会・資格
放射線治療専門医
研修指導医
日本医学放射線学会 特任理事
日本放射線腫瘍学会 理事
高精度放射線外部照射部会 常任幹事
日本癌治療学会 代議員
日本頭頸部癌学会 理事
日本食道学会 評議員
日本婦人科腫瘍学会 評議員
立花 弘之 (たちばな ひろゆき)
役職
放射線治療部医長
専門分野
放射線治療全般、頭頸部癌
学会・資格
放射線治療専門医
研修指導医
清水 泰博 (しみず やすひろ)
役職
副院長 兼 消化器外科部部長 兼 地域医療連携・相談支援センター長
学会・資格
日本外科学会 指導医・専門医
日本消化器外科学会 指導医・専門医
日本消化器病学会 指導医・専門医
日本胆道学会 指導医
日本膵臓学会 指導医
日本肝胆膵外科学会 高度技能指導医
坂倉 範昭 (さかくら のりあき)
役職
呼吸器外科部部長
学会・資格
日本外科学会 外科専門医・指導医
日本呼吸器外科学会 専門医・評議員
日本ロボット外科学会 専門医・呼吸器領域ロボット手術プロクター(指導医)ライセンス取得者
胸腔鏡安全技術認定医
がん治療認定医機構がん治療認定医
臨床研修指導医講習会 修了
花井 信広 (はない のぶひろ)
役職
頭頸部外科部部長 兼 副院長
学会・資格
医学博士
日本耳鼻咽喉科学会 指導医・専門医
日本頭頸部外科学会 指導医・専門医
日本気管食道科学会 専門医
日本内分泌外科学会 専門医
がん治療認定医
頭頸部アルミノックス治療指導医
鈴木 秀典 (すずき ひでのり)
役職
頭頸部外科部医長
学会・資格
医学博士
日本耳鼻咽喉科学会 指導医・専門医
日本頭頸部外科学会 指導医・専門医
がん治療認定医
頭頸部アルミノックス治療指導医
稲葉 吉隆 (いなば よしたか)
役職
放射線診断部部長
学会・資格
日本医学放射線学会 放射線診断専門医
日本IVR​学会 IVR​専門医
日本臨床腫瘍学会がん薬物療法 専門医・指導医
日本がん治療認定医機構 暫定教育医
がん治療認定医
日本消化器病学会 消化器病専門医
山浦 秀和 (やまうら ひでかず)
役職
放射線診断・IVR部医長
学会・資格
日本医学放射線学会 放射線診断専門医
日本IVR学会 IVR専門医
鈴木 史朗 (すずき しろう)
役職
婦人科部部長
学会・資格
日本産科婦人科学会 専門医・指導医
日本婦人科腫瘍学会 専門医・指導医・代議員
日本遺伝性腫瘍学会 専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本免疫治療学会 運営委員シニア
公認心理師
日本産科婦人科学会
日本婦人科腫瘍学会
日本産科婦人科内視鏡学会
日本癌学会
日本癌治療学会
日本人類遺伝学会
日本遺伝性腫瘍学会
日本免疫治療学会
小島 崇宏 (こじま たかひろ)
役職
泌尿器科部部長
学会・資格
日本泌尿器科学会 専門医・指導医
日本泌尿器内視鏡学会 腹腔鏡技術認定医
日本内視鏡外科学会 技術認定医
ロボット(da Vinci Xi)手術認定医
ロボット(da Vinci Xi)手術プロクター 指導医
日本泌尿器科学会
日本癌治療学会
日本癌学会
日本内視鏡外科学会
日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
日本泌尿器腫瘍学会
日本臨床腫瘍学会
日本サルコーマ治療研究学会
田近 正洋 (たぢか まさひろ)
役職
内視鏡部部長
学会・資格
日本内科学会 認定医・指導医
日本消化器病学会 学会評議員・専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 社団評議員・専門医・指導医
日本肝臓学会 専門医
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医・指導医
日本消化管学会 代議員・胃腸科専門医・指導医
日本遺伝性腫瘍学会 評議員・遺伝性腫瘍指導医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本胃癌学会会員
日本食道学会会員
日本癌治療学会会員
欧州臨床腫瘍学会(Esmo associate member)会員
臨床修練指導医
小森 康永 (こもり やすなが)
役職
精神腫瘍科部部長
学会・資格
精神科専門医
精神保健指定医
臨床心理士
日本サイコオンコロジー学会登録精神腫瘍医
医学博士
日本緩和医療学会
日本サイコオンコロジー学会
日本精神神経学会
日本家族研究・家族療法学会 編集委員長・評議員
日本描画テスト・描画療法学会
奥野 正隆 (おくの まさたか)
役職
消化器外科部医長
学会・資格
日本外科学会 指導医・専門医
日本消化器外科学会 指導医・専門医
日本内視鏡外科学会 技術認定医
佐藤 雄介 (さとう ゆうすけ)
役職
消化器外科部医長
学会・資格
日本外科学会 専門医
日本消化器外科学会 指導医・専門医
日本大腸肛門病学会 専門医
日本内視鏡外科学会 技術認定医

薬物療法部 安藤 正志先生より

肉腫(サルコーマ)の治療には、手術療法、放射線治療、薬物療法の3つがあります。これらの治療を単独、あるいは組み合わせて、肉腫の治療が行われます。

3つの治療のうちの1つである薬物療法は、手術前後に腫瘍を縮小させたり、再発を抑える目的で行われる場合と転移した肉腫に対して病気の勢いを抑える目的で治療が行われます。肉腫に対する薬物療法においては、患者さんの利益(治療効果)と不利益(副作用など)を説明した上で、それぞれの患者さんに最善と考えられる治療を受けて頂くことを心がけております。

肉腫は、胃がんや肺がんなどのいわゆる5大がんと比較して、患者さんの数は少ない病気です(1/10~1/100)。患者さん側からは、1)どの病院に受診すれば良いか解らない、2)今受けている治療が適切な治療かどうか、問い合わせる場所がわからない(セカンドオピニオンなど)、などが問題となります。一方、医療側からは、1)経験・情報の不足による診断・治療が困難、2)いわゆる保険適応外の薬剤が多い、3)治療方針などについて、どこに問い合わせれば良いのか解らない、などが問題となります。

希少がん・サルコーマセンターでは、東海地区の肉腫診療において、1)診療連携(診断・治療、相談)、2)情報共有(新薬の臨床試験(治験)など)を使命として取り組んでまいります。

遺伝子病理診断部 細田 和貴先生より

当部は肉腫の病理診断、分子腫瘍診断を行います。肉腫は腫瘍全体のなかでも発生頻度の低い腫瘍です。稀でありながら、近年その分子異常の解明が著しく進歩し、現在非常に多くの分子異常に基づいた腫瘍分類がなされています。遭遇する頻度の低さと種類の多さから、肉腫の診断はより専門的な知識が求められる領域となっており、そのため症例経験の多い専門施設での診断の重要性が増しています。

当院は中部地区で最も歴史のあるがん専門病院として、豊富な肉腫の診断の経験と症例の蓄積があります。またいち早く腫瘍遺伝子診断の導入に積極的に取り組んでおり、多岐に渡る肉腫の分子異常を解析できるよう、解析技術(免疫染色、FISH、RT-PCR、核酸塩基配列決定法、等)の整備に努めています。さらには次世代シークエンサーを用いた高いレベルの解析を行うことも可能となっています。病理医はこれらの結果をもとに臨床医と話し合いを行い、患者さん一人一人に最善の診断方針、治療方針を提案できるよう心掛けています。

外来診療担当医

筑紫
吉田
浜田
筑紫 -浜田
  1. 紹介元医療機関より診療情報提供書(紹介状)を医療連携室へFaxしていただき、希少がん・サルコーマセンター外来(整形外科部)の受診予約(月曜日・火曜日・水曜日・金曜日)を行います。詳細は予約システムご利用のご案内をご参照ください。
  2. 診療情報提供書(紹介状)の内容によっては薬物療法部や消化器外科部を最初に受診していただく場合がございます。
  3. セカンドオピニオンも受け付けています。
  4. 診療情報提供書(紹介状)をお持ちでない方は、初診時選定療養費として7,700円いただくことになっております。

診療実績

希少がん・サルコーマセンター実績

20152016201720182019202020212022
軟部悪性2927886157644658
骨悪性6101311119811
転移性22233355524958
合計3739124105123125103127

治験・臨床研究への参加

  1. 骨肉腫術後化学療法におけるイフォスファミド併用の効果に関するランダム化比較試験
  2. 高悪性度非円形細胞肉腫に対するadriamycin、ifosfamideによる補助化学療法とgemcitabine、docetaxelによる補助化学療法とのランダム化第Ⅱ/Ⅲ相試験
  3. 高い信頼性・妥当性を有する骨軟部腫瘍手術後の患者立脚型評価尺度(COMMON)の開発に関する多施設共同前向き研究
  4. 粘液型脂肪肉腫・滑膜肉腫・通常型軟骨肉腫におけるNY-ESO-1の発現と臨床成績に関する研究・骨軟部肉腫治療研究会(JMOG)多施設共同研究
  5. Kyocera Modular Limb Salvage system(京セラモジュラー型患肢温存システム)新セメントレスステムの短期成績調査
  6. 初診時遠隔転移を有する悪性軟部腫瘍の予後因子解析 東海骨軟部腫瘍コンソーシアム共同研究
  7. 高い信頼性・妥当性を有する上肢骨軟部腫瘍手術後の患者立脚型評価尺度(COMMON)の開発に関する多施設共同前向き研究
  8. 切除不能の明細胞肉腫または胞巣状軟部肉腫に対するニボルマブの医師主導治験(OSCAR trial)

研究・学会活動

  1. Development of a patient-oriented disease specific outcome measure of health-related quality of life (HRQOL) for musculoskeletal oncology patients. Ogura K, Uehara K, Akiyama T, Shinoda Y, Iwata S, Tsukushi S, Kobayashi E, Hirose T, Yonemoto T, Endo M, Tanzawa Y, Nakatani F, Kawano H, Tanaka S, Kawai A. J Orthop Sci. 2018: S0949-2658
  2. Clinical outcome of primary giant cell tumor of bone after curettage with or without perioperative denosumab in Japan: from a questionnaire for JCOG 1610 study. Urakawa H, Yonemoto T, Matsumoto S, Takagi T, Asanuma K, Watanuki M, Takemoto A, Naka N, Matsumoto Y, Kawai A, Kunisada T, Kubo T, Emori M, Hiraga H, Hatano H, Tsukushi S, Nishida Y, Akisue T, Morii T, Takahashi M, Nagano A, Yoshikawa H, Sato K, Kawano M, Hiraoka K, Tanaka K, Iwamoto Y, Ozaki T. World J Surg Oncol. 2018:160
  3. Predictors of complications in heat-treated autograft reconstruction after intercalary resection for malignant musculoskeletal tumors of the extremity. Ikuta K, Nishida Y, Sugiura H, Tsukushi S, Yamada K, Urakawa H, Arai E, Hamada S, Ishiguro N. J Surg Oncol. 2018:1469-1478
  4. Long-term functional outcome of tibial osteomyelitis reconstruction with free tissue transfer. Takanari K, Toriyama K, Kambe M, Nakamura R, Nakamura Y, Sato H, Ebisawa K, Tsukushi S, Nishida Y, Kamei Y. J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2018:758-760
  5. Analysis of the Infiltrative Features of Chordoma: The Relationship Between Micro-Skip Metastasis and Postoperative Outcomes. Akiyama T, Ogura K, Gokita T, Tsukushi S, Iwata S, Nakamura T, Matsumine A, Yonemoto T, Nishida Y, Saita K, Kawai A, Matsumoto S, Yamaguchi T. Ann Surg Oncol. 2018:912-919
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