栄養管理部
令和5年11月改訂
概要
がん治療中の食事及び栄養管理を担っているのが栄養管理部です。
管理栄養士・栄養士・調理師が一丸となって、がん治療を食事面からサポートします。
栄養管理については病棟や外来、チーム医療にて管理栄養士が活躍し、入院中や自宅での食事について、皆様の悩み・不安を少しでも軽減できるよう取り組んでいます。
業務内容
栄養管理部の目標
給食の目標
安心・安全で患者さんの立場にたった給食を提供します。
- 患者さんの治療や状況に則した給食を提供します。
- 衛生管理体制を整え、安全な食事を提供します。
- インシデント防止マニュアルに基づき、誤配膳、異物混入をなくします。
栄養管理の目標
患者さん、個々に応じた栄養管理に努めます。
- 患者さんの立場にたち、わかりやすい栄養指導を心掛けます。
- NSTチームと協働で、患者さんの栄養管理に努めます。
- 患者さんの栄養状態を把握し、的確な栄養管理に努めます。
よりおいしく、より食べたくなる給食のために
当院では直営にて給食業務を行っており、当院のスタッフである調理師が毎食愛情をこめ、常にプロ意識をもって給食を作っています。
より良い給食を作るために、以下のような取り組みを行っています。
院内厨房による直営調理
出来立てをできるだけ早く、美味しさを保って配膳することを心がけています。
また、適時適温での提供のために、温冷配膳車を全病棟で導入しています。
調理チーム分け
当院では大きく分けて、
- 常食系(食事に特別な制限のない方向け)
- 特食系(術後の方、軟らかい食事をご希望の方、制限が必要な方向け)
の2種類があり、それぞれ担当する調理師が決まっています。
担当する業務を固定することで、専門性を高めています。
嚥下チームとの連携
管理栄養士と特食系チームの調理師は、院内の嚥下チームと連携を取っています。
月に一度嚥下チームと打ち合わせをし、咀嚼・嚥下に考慮しながら、より安全でよりおいしい食事を追求しています。また、嚥下にお悩み・ご不安のある患者さんが中心となって活動している「つばめの会」に参加しています。
病棟訪問
管理栄養士と調理師の組み合わせで、入院中の患者さんに給食に対する意見・感想を伺っています。いただいた意見を参考に、業務に取り組んでいます。
食事アンケート
食事に対するアンケート調査を1年に2回ほど実施しています。
下のグラフは、それぞれ令和2年度、3年度の常食の満足度をまとめたものです。令和3年度のアンケート結果では、令和2年度に比べ、よりよい評価が得られたことがわかります。
治療での食事の悩み・不安の軽減のために
NST(栄養サポートチーム)での活動
NSTとは、入院時に栄養状態を評価し、栄養療法が必要な患者様に対して、多職種(医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・歯科医師・歯科衛生士等)でチームを組み最適な栄養療法を検討・提言していくチームです。当院では、栄養改善目的の他に、がん治療に伴う副作用対策・栄養低下防止も目的としています。
栄養管理部からは、管理栄養士1名が専任として活動しています。
外来化学療法センターでの活動
外来化学療法センターとは、従来入院で行われていた化学療法を通院による外来治療で行うための施設です。投与方法などの進歩と、患者さんの療養生活の質の向上を目指し、当院にも設置されています。
最善の治療を選択するためには、体力が必要であり、治療の土台となる体力を作るためには食事をしっかりと食べ、適度に体を動かし、体重や筋力を維持することが大切です。
体力を作ることや、化学療法の副作用による食事の悩みや不安を少しでも解消するために、管理栄養士が活動しています。
栄養管理部からは、「がん病態栄養専門管理栄養士」1名が専任として活動しています。
病棟・外来での活動
一部の病棟にて、担当の管理栄養士が病室へ伺い、栄養状態や食事状況、食物アレルギーの確認を行っています。入院中も食事をどれだけ食べられているかなどを確認し、必要に応じてNSTへの連携などを行っています。
退院前および外来診察時に栄養相談を行っています。栄養相談では、ご自宅で過ごされるにあたり、守っていただきたい食事の注意点や、お悩み、不安に対するアドバイスを行っています。
入院・外来問わず、ご希望があれば栄養相談を受ける事が出来ます。外来の場合は診察時の受付、またはお電話にてご連絡ください。ご予約を調整いたします。
平日(月~金) | 土 | 日・祝 | |
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午前(9時30分~12時) | ○ | ○ | × |
午後(13時~15時) | ○ | × | × |
患者さんへのメッセージ
特に力を入れている食事について
行事食
当院では月に一度、月ごとの行事やテーマに沿った給食を提供しています。いつもの給食よりも手の込んだ、豪華になった給食となっています。
かのこ食(化学療法食)
当院では「鹿子殿」という地名にちなんで、「かのこ食」という化学療法食を準備・提供しています。化学療法や放射線治療などの副作用などにより、食欲がなくなる、味覚が変わる、など、食事が食べにくくなることがあります。かのこ食とは、そうした場合でも食べられそうなものを探す食事のことです。副作用があってもこれなら食べられそう!という気持ちを持ってもらえるよう、一般的に食べやすいとされるものを提案させていただく食事です。
ソフト食(嚥下調整食3)
嚥下調整食とは、加齢や治療などによる、食事が噛みにくい、飲み込みにくいというお悩みに対応した食事です。ミキサーにかけたペースト食や、ペーストを凝固剤で固めたソフト食などがあり、中でも嚥下調整食3にあたるソフト食は、見た目にも力を入れています。食事は見た目も楽しめることが、摂取量の増加につながると考えています。嚥下調整食を必要とされる方は食事の量が減りやすく、体重も減りやすいため、しっかりと、安全に、おいしく食べていただける食事が重要です。
当院でのソフト食の調理例
回鍋肉 「第10回嚥下食レシピ大賞 アイデア賞 受賞」
材料(3食分)
- 炒めた豚肉(200g)だし汁(200cc)凝固剤(10g)
- 炒めたキャベツ(200g)だし汁(50cc)凝固剤(5g)
- 炒めた各種ピーマン(100gずつ)だし汁(25ccずつ)凝固剤(2.5gずつ)
- 回鍋肉のたれ(はじめにつくる回鍋肉の汁に、とろみをつけてもよい。)
(1)はじめに、普通の回鍋肉を作ります。(ここから食材を取り分けます。)
(2)回鍋肉の肉を出汁とミキサーにかけ、ペースト状になったら凝固剤を入れて再度ミキサーにかける。
(3)(2)を鍋に入れ、85℃になるまで加熱し、容器に入れて冷ます。
(4)冷めた肉をちょうどよい大きさにちぎり、たれをぬってバーナーであぶる。
(5)キャベツはだし汁、凝固剤と一緒にミキサーにかけ、鍋で85℃まで加熱し、型に入れて冷やし固める。
(6)ピーマンもキャベツと同じ工程で調理し、型に入れて冷やし固める。
(7)それぞれ固めたキャベツ、ピーマンをカットしてたれを塗り、豚肉とともにさらに盛り付けて完成。
ご家庭でのソフト食の作り方
- いつも食べられているおかずを用意します。
手作りする、コンビニやスーパーで買う、など用意の方法はご自由に。 - ミキサーにおかずを入れ、出汁や牛乳などの水分と一緒にミキシングします。
和食なら出汁、洋食ならコンソメ、中華なら鶏がら、など味が合うものにしましょう。 - ミキシングしたおかずをこします。
専用のものがなければ、茶こしや目の細かいザルなどでこしましょう。 - 専用の凝固剤を混ぜます。
凝固剤は片栗粉や寒天、ゼラチンではなく、嚥下調整食用のものを用意しましょう。薬局には必ず販売されています。凝固剤の種類によっては、おかずとともにミキシングするものもあります。凝固剤の説明をみてトライしてください。 - 専用の型や、ラップなどを用いて成形します。
普段通りの見た目に近づけるため、ラップで成形してカットするのもおすすめです。 - 固まったら盛り付けて完成です。
毎食全品作るのが大変な場合には、レトルト品や宅配弁当などを活用するのもよいでしょう。
スタッフ紹介
在籍職員数
- 管理栄養士:6名
- 栄養士:3名
- 調理師:13名
- 調理員:1名
- 厨房内一部委託(洗浄・配膳・下膳業務)