眼科
概要
眼科は1994年7月1日から2000年12月31日まで常勤医が勤務していましたが、以後は名古屋大学医学部眼科より代務医師による診療が継続しています。当院では、主に眼痛、視力低下、視野異常、変視症、飛蚊症、悪心・嘔吐を伴う片眼の発赤、眼球運動障害、眼窩周囲の腫脹、眼の異物感・掻痒感、充血、眼脂、羞明、光過敏、霧視、複視などの症候がある場合に主科からの依頼を受けて外来診察を行うことが多いです。最近は治験で眼科診察が必要なことも多く、2018年7月より火曜日午前と金曜日午後の週2回外来診療を行っています。糖尿病内科と腎臓内科も名古屋大学医学部の医局からの代務医師による外来診療を行っており、皮膚科、眼科、糖尿病内科、腎臓内科は外来部長が監督管理しています。
診療内容
白内障・緑内障などの眼科一般疾患の定期的な診察のほかに、当院の特殊性もあり、他の総合病院ではきわめて稀にしかないような難治性眼疾患の患者さんの診察を行っています。
がんセンターでは、主に眼痛、視力低下、視野異常、変視症、飛蚊症、悪心・嘔吐を伴う片眼の発赤、眼球運動障害、眼窩周囲の腫脹、眼の異物感・掻痒感、充血、眼脂、羞明、光過敏、霧視、複視などの症候がある場合に主科からの依頼を受けて外来診察を行うことが多いです。
主な検査
視力検査、眼底検査(散瞳剤点眼使用)、眼圧検査、色覚検査、視野検査などがあります。
主な疾患
結膜炎、角膜炎、白内障、緑内障、ぶどう膜炎、糖尿病性網膜症、網膜剥離、網膜転移、眼科領域の腫瘍(後述)などがあります。
眼科領域の腫瘍
眼にできるがんは、眼球内部(結膜、角膜、ぶどう膜、網膜、視神経)にできるものと、眼球周囲(眼瞼、涙腺など)にできるものがあります。眼にできるがんは、他の臓器のがんと比較して非常に少ないのが実際です。がんの拡がりや性質、他の臓器への転移の状況などによって、眼球を保存できる場合と、できずに切除しなくてはならない場合、さらには眼球周囲の組織まで大きく取り去らなければならない場合があり、眼科単独で治療を行なうのではなく頭頸部外科部、血液・細胞療法部、放射線治療部などと緊密な連携を必要とすることが多いです。眼にできる主ながんを以下に記載しますが、眼・眼窩腫瘍に対する放射線治療ガイドラインに関してはhttp://web.sapmed.ac.jp/radiol/guideline/eye.htmlを参照して下さい。
1. 悪性リンパ腫
眼球に腫瘍ができる場合と眼球周囲の組織(眼窩)に腫瘍ができる場合があります。特に眼球結膜“しろめ”にみられる場合は初めのうちは気がつかない場合があり、眼球周囲(眼窩)にできた場合の症状は眼瞼(まぶた)の腫れ、眼球突出、眼球偏位、眼球運動障害による複視などがあります。時に鈍い痛みを伴う場合もあります。眼窩腫瘍の多くは悪性リンパ腫で、特に結膜の悪性リンパ腫は低悪性度のMALTリンパ腫であることが多いです。発生部位に関わらず、手術で腫瘍を取る治療と抗がん剤や放射線による治療が行なわれます。眼内悪性リンパ腫に対してMTXの硝子体内注入も行われることがあります。
2. 悪性黒色腫(メラノーマ)
眼球の結膜とぶどう膜の一部の脈絡膜に主におこり、成人に多いです。結膜(しろめ)におこるものは、中高年者に多く、初めはうすい黒いしみが、次第にゆっくりと濃く拡がったり盛り上がったりしてきた場合に疑います。治療は眼球除去、眼窩内容(眼球および眼球周囲の組織)除去、局所切除などがありますが、結膜に生じた時はMMCや5-FUの点眼による局所化学療法の効果にも注目が集まっています。その他、インターフェロンーβやシクロスポリンの局所投与や光線力学的治療法(photodynamic therapy, PDT)が有効であったとする報告もあります。脈絡膜におこった場合は、がんが視力に影響がでやすい部位(黄斑部)にできると、早いうちから視力低下がおこります。診断はその特徴的な眼底所見に加え、フルオンセイン螢光眼底造影で腫瘍部位に一致した多発性の点状ないし斑状過螢光二重循環(double circulation)、 造影後期の硝子体中へのコロナ状の螢光漏出所見などが参考となります。インドシアニングリーン赤外螢光眼底造影は大きさを正確に把握するのに有用で、核医学検査では、メラニン産生細胞との親利性を有する放射性物質として知られる123I-IMPを利用したシンチが診断に有用です。治療は眼球除去、放射線による治療、レーザー光凝固術、手術的にがんを局所切除、半導体レーザーによる経瞳孔温熱療法、106Ruや125Iなどの小線源の強膜縫着療法、重粒子線治療などがあります。
3. 涙腺がん
眼球周囲の涙腺という涙を分泌する器官におこるがんです。症状は眼球突出と眼痛、複視、頭痛など様々です。治療は主に眼窩内容除去術が行なわれています。比較的進行が速いがんとされる腺様嚢胞がんは重粒子線治療が期待されています。
4. 眼瞼がん
高齢者に多いといわれる眼瞼(まぶた)のがんです。脂腺がん、基底細胞がんの頻度が高く2つで約2/3、残りの多くを扁平上皮がんと悪性リンパ腫が占めます。症状はまぶたの縁に腫瘤(できもの)を触れて治りにくく、やがて出血やただれを生じてきた場合に疑います。進行が比較的遅いものに対しては経過観察をしたり、外科切除、放射線治療を行ったりします。進行が速くきわめて悪性のものは、眼窩内容除去術が行なわれます。
5. 転移性腫瘍
眼にはまれに、他の臓器のがんが転移することがあります。男性では肺がん、女性では乳がんからの転移が多いです。症状は眼球のどこに転移したかにもよりますが、視力に影響がでやすい網膜の一部(黄斑部)に転移した場合は、ものがゆがんでみえたり、視野の中央部が欠けて視力が低下したりします。治療は転移したがんが小さく範囲が限られている場合は、レーザー光凝固術、範囲が広い場合は放射線治療がおこなわれます。
スタッフ紹介
日本臨床腫瘍学会 指導医・がん薬物療法専門医・評議員
日本呼吸器学会 呼吸器専門医・呼吸器指導医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医・気管支鏡指導医
日本肺癌学会 評議員
日本医師会 認定産業医
日本癌学会会員
外来診療担当医
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診療実績
外来診療が中心ですが、眼科腫瘍等については名古屋医療センターや名古屋大学医学部眼科とも連携しています。