循環器科部
令和4年3月改訂
概要
がん治療の進歩に伴い、化学療法や放射線治療が積極的に行われ、がん患者さんの予後は改善しています。しかし生活習慣の変化や高齢化に伴い、心血管疾患はがんに次ぐ死因となり、心血管疾患を合併するがん患者さんは増加しています。また、がん治療が心臓や血管に負担をかけることがあり、心筋障害や血管障害を引き起こすことがあるため、がん患者さんに対する循環器的なケアの必要性は高まっています。当科では、各診療科でのがん治療が安全に行われるようサポートし、治療後に循環器疾患で困ることがないようにがん専門医と連携して診療を行っています。
現在、がん診療に伴う循環器診療は医師2名(専任1名、兼任1名)の体制で行っています。専門的な循環器検査・治療に関しては当院で行うことができないため、近隣の専門病院と連携して循環器診療を行っております。
診療内容
- 入院治療中に発生した高血圧、不整脈等の診療
- 手術・放射線治療の治療前後における循環器科検査の実施
- がん治療に関連した心筋障害や血栓症などの循環器疾患に対する診療
がん診療各科と連携した診療を行っています。以下に診療業務の詳細について説明いたします。
がん治療と心筋障害
がん治療における化学療法や放射線治療では、がんのみならず心臓に対しても様々な影響を及ぼします。近年著しい進歩を遂げている分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などは、抗がん作用として大きな効果を得ることができる一方で、治療開始後から心機能が低下するといった悪影響が出てしまうこともあります。また放射線治療の部位に心臓領域が含まれる場合には、放射線量によって心筋障害をもたらすことがあります。こうした状況をいち早く検査により把握し、適切な対処を行っていくことが大切です。
がん治療と血栓症
当科で扱うことが多いのが血栓症です。がんの方やがん治療中の方には血栓症の合併も多く、約1割の患者さんに発症するという報告もあります。血栓は下肢を中心に上肢、肺動脈、頸動静脈、内臓周囲血管など様々な部位に発生してきます。浮腫みや疼痛などの症状が出現することもありますが、症状もなく画像検査で偶然に発見される場合もあります。血栓症の診断後は抗凝固療法を中心とした血栓治療を行っています。最近は内服薬での治療が増えており、通院で治療を行うことも可能となっています。
がん治療と血管障害
化学療法で使用される一部の抗がん剤では、血管機能を低下させることで(血管内皮機能の障害や血管床密度の減少など)、高血圧のリスクが高まり、その結果として狭心症、心筋梗塞や脳梗塞といった虚血性血管障害を増加させることにつながってきます。こうした場合には早期に治療を行うことにより、心血管障害のリスク軽減を図っています。
スタッフ紹介
総合内科専門医
移植認定医
外来診療担当医
月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
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木村 | - | - | 木村 | - |
外来診療中のがん患者さんに対しての循環器診療を行なっています。当センターでは循環器科医師は一名しか在籍していません。がん治療の終了後は、基本的にかかりつけ医への再診や他医療機関へ紹介を進めてゆくことになりますので、ご理解を頂けますようお願いいたします。
患者さんへのメッセージ
診療実績
外来患者数
外来で診療を行っている患者さんは、1日に30名~程度です。大体10名~が新規の患者さんです。
循環器科の入院診療は、循環器医が1名となってからは実施していません。