日本の放射線治療はここから始まりました
当院では1964年の開院と同時に放射線科を設置し、診断業務と治療部門を独立して業務を行ってきました。当院の名誉総長である高橋信次先生が開発された、当時としては画期的な高精度放射線治療「原体照射法」を当初より積極的に臨床に応用し、優れた治療効果や安全性を報告してきました。現在の最先端の放射線治療の基礎はこの原体照射法であり、日本の放射線治療はここから始まったと言っても過言ではありません。
放射線治療は手術などの外科治療、薬物療法とともに、がん治療の3本柱と言われています。放射線治療は患者さんの身体への負担が少なく、機能を温存することが可能な治療法です。海外ではがん患者さんの治療の約7割に放射線治療が使われていますが、日本では30%程度に過ぎません。これは放射線治療の専門医の数が少ないこと、医学教育の中でまだ放射線治療の有効性が十分に浸透できていないことが原因ではないかと考えています。
当院では、各診療科の医師だけでなく、我々も含めさまざまな専門家が集まってその患者さんの治療に何が最適かということを検討し、治療方針を決定しています。外科的治療、薬物療法、放射線治療を適切に組み合わせた集学的治療を行い、より質の高い治療を提供できることががん専門病院である当院の大きな特徴です。以前は同じ病気に対して一度しか行えなかった放射線治療も、当院では病気によっては再治療も可能になっています。放射線治療は日々進化しています。また、当院には長い歴史と経験があり、高度な技術を持ったスタッフがいます。我々と共に、がんと闘いましょう。