当センターについて

総長ごあいさつ

愛知県がんセンター
総長 丹羽 康正

愛知県がんセンターは、がん研究会病院、国立がん研究センターに次いで1964年に日本で3番目に設置された、研究所と病院を有する総合がんセンターです。がんの研究力や診療実績において日本で屈指の高評価を獲得できる施設です。2024年12月には開設60周年を迎えます。総長室には設立時に指導力を発揮された桑原幹根元知事と尽力された勝沼精蔵元名古屋大学総長の肖像写真が掲示されています。がんの克服を目指したお二人の志に私たちは今も応えなくてはならないと考えています。 

かつて「がん」という病名は不治の病と捉えられていました。実際に設立時の5年生存率は30数%でしたが、当センターの2016年データでは70%を超えています。検診の普及、新しい診断や治療法の開発・普及によって、治癒される患者さんは増えています。ピロリ菌・肝炎ウイルスの排除や喫煙率の低下などによってがんの増加は頭打ちになってきています。 

一方で、日本社会の高齢化とともに60歳以降に発生するがん患者さんは増加しています。生活習慣病とは関連がない、若年者や働き盛りの年齢で発生するがんもあります。がんは決して他人事ではなく、いわば現代の「国民病」といえる時代を迎えています。 

当センターの基本理念は「私たちは患者さんの立場に立って、最先端の研究成果と根拠に基づいた最良のがん医療を提供します。」です。簡潔でありながら、当センターの姿勢をきちんと提示しており、職員の名札で自分自身に肝に銘じ、施設内に掲示することで患者さんにも訴えています。 

愛知県内で唯一の「都道府県がん診療連携拠点病院」であり、国内で特定機能病院と指定されたがん専門病院5施設の1つです。「がんゲノム医療拠点病院」は研究所スタッフの協力のもと2019年に取得し、2023年度に更新しました。もともと外科手術のレベルの高さは定評があり、さらに数多くの薬の治験を行っているため、ゲノム医療を実装化して県民の皆さんに提供をしています。当院のスタッフはがん治療のプロといっても過言ではなく、ほとんどが各領域の専門医を有しています。当院はがんの「High volume center」 の1つに数えられており、これは各ステージの該当領域のがん患者を多く診療していることから呼ばれる名称です。全国の医療施設とタッグを組み、薬物療法・外科療法・放射線療法あるいはこれらを組み合わせた新しい治療法を開発しています。私たちは、診察にみえる患者さんを治療するとともに、研究所の先生方と明日のがん医療、未来のがん医療を開発しています。 

昔も今も将来も「がんといえば、愛知県がんセンター」として、また「がんの診療の最後の砦」として評価いただけるように努めてまいります。